〜絶版本の宴〜

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多元宇宙の帝国

概要
主人公は、ある日いきなり並行宇宙に連れて行かれたアメリカ人外交官。
外交官を連れ去ったら大問題だろうという話は横に置き、連れて行かれた先で主人公は『敵』である悪の帝国に潜入すべく、スパイに仕立て上げられる。
わざわざ拉致した理由は簡単。悪の帝国の親玉が、主人公の「異次元に存在するもう一人の自分」だから。外見もそっくりだし大丈夫だろう、と無責任にも送られてみたら、あっけなく正体がバレる。
なんだかんだと大騒ぎするうち、本物の支配者に遭遇する主人公。バレた理由はしごく簡単、主人公は健常者だが悪の支配者は足が動かない。そりゃあばれますねと納得し、兄弟のように語り合って和解の道に進みかけたところで、悪の支配者閣下もろとも狙撃される主人公。支配者閣下は主人公を庇い、あえなく討ち死に。
真の悪役はどこだと探す主人公、最後は人気のない倉庫街での戦いとなって……

キース・ローマーの描く平行宇宙ネタSF第一弾。
続編の「多元宇宙SOS」はなんとこの本より先に出版されている(少なくともハヤカワからは)。担当者は多元宇宙から落っこちてきた奴で、そいつの時間線上では「多元宇宙SOS」の方が先に出版されていたりするんだろう。多分。

そんな戯言は横に置くとして。
なんと悪の帝国の支配者はちっとも悪じゃなかった、じゃあどこに悪役がいるんだと思ったらこれが味方だと思ってた人物でした、と判明するのが224ページ目。
時代劇ならばさしずめ45分目の印籠のような展開だが、それはそれで面白い。最後の倉庫街での決闘も、やっぱりお約束のロケーションでしょう。お約束の通りストーリーが進み、お約束の通りどんでん返しが起きて、なかなか良い感じにまとまっている作品です。
いささか古めかしいのはまあ、発行年をご覧になれば納得していただけると思う。

この作品の登場するバカいち(と嫌展)


書籍データ
作者キース・ローマー
翻訳矢野徹
発行早川書房(ハヤカワ文庫SF 293)
発行年1978年(原作:1962年)
ジャンルSF(平行宇宙もの)
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