あらすじ
UFO追跡クラブの変人連中と付き合いがある以外、まったくごく平凡なただの大学生だったダンカン。
しかしある冬の晩、変り者の女の子とビールを買いに行ったのが彼の運の尽き。彼は突然、何者かにレーザー銃で狙撃された。
その「バック・ロジャーズ風」武器を振り回した挙げ句の銃撃戦、そして『変な女の子』に射殺されたのはなんとネアンデルタール人。それを見てしまったダンカンに、女の子は「私の味方になる?それとも記憶を消される?好きな方を選んでちょうだい」とお約束どおりの選択を迫る。
さっぱりワケは分からないが、記憶を消されるよりは味方になる方がマシ。ダンカンはそう決定を下し、時空監視局の一員となるべく、生まれ育った世界を後にする。
とはいえ彼が駆け巡る時空はすべてヒトの支配するところ。そんな中、時空を超えて展開する人類の亜種間の千年戦争の中へと放り込まれたが、奇跡の生存記録を更新するダンカン。
己の出身時空を併合しようとする動きを阻止した後、ダンカンは異色の時空に接触。
そしてその時空は、人類以外の知的文明の存在を示唆するものだった……
後進世界出身の巻き込まれ型主人公が、多元宇宙の複雑怪奇に交わる時間線の中でどたばた大活躍するお話。
1979年に書かれた作だけあり、かなり古めかしい感じもしないではない。
これがどのくらい古めかしいかというのは、上のあらすじを見ていただければご理解いただけたことでしょう。
そもそもバック・ロジャーズなんていわれても、私ですらよく覚えてないくらいだし。当時の流行ものではあったんですが、こういう流行ねたはすぐに忘れ去られるというバカ一を体現してもおりますな。
それはさておき。
多元宇宙を支配しようとする帝国、それに立ち向かう主人公、そして主人公が巻き込まれた理由が「ああ君、見ちゃったのね。記憶を消されるのと仲間になるの、どっちがいい?」であるあたりからして、かなりお約束です。
これはこのまま(もちろん大人のコミュニケーション深夜版部分は除いてですが)、子供向け特撮番組にしてもいいくらいだと思います。
いや、私はこの手のお約束は大好きなんですが。
ところで、この作品中、時空移動ウィンドウというアイディアが出てきます。いつでも好きなときに移動できるのではなく、移動タイミングが限られているということですね。
なかなか面白いと思いましたが、これは作者の本業から思いついたアイディアだったのではないかとも思うわけです(作者はスペースシャトル開発にも関わったことがあるとか。打ち上げウィンドウの概念をそのまま持ってきたんでしょう)。
作者 | マイクル・マッコーラム |
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発行 | 早川書房(ハヤカワ文庫SF 613) |
発行年 | 1985年(原作:1979年) |
ジャンル | SF |
全タイトル | 時空監視官出動! |
入手可能性 | 絶版。古書店でどうぞ。 |