〜絶版本の宴〜

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怪傑黒頭巾

あらすじ
時は幕末、所はお江戸。
傍若無人に振る舞う木っ端侍・悪代官・ごろつきどもを、しばき倒す謎の武士。
面目丸つぶれの幕府が追い掛け回すも甲斐はなく、悪しきをくじき弱きを助けるこの黒頭巾に、世間はやんやの大喝采。
 一方同じ頃、兵学者山鹿士行の子供たち二人は父が捕われている事を知り、なんとか助けようと探り始める。その二人を助ける黒頭巾。
二人の父がのこした江戸城抜け穴の秘密地図をめぐって、浪人目付青江下野は黒頭巾らを追い始めるが……

 正体を隠していた正義の侍が、物語開始5分でばったばったと小悪党をひしぎ倒し、中盤30分で危機に陥り、40分で復活して悪党どもを暴き立て、50分で大立ち回り、というのがテレビ時代劇の(ある意味)お約束ですが、構成はこれに近いです。
 たいへん人気があったようですが、一時的な人気で終わらなかったのもこのシリーズの凄いところでしょう。
 昭和28年に大友柳太朗主演のシリーズが封切られ、昭和33年には若柳敏三郎版をNTVが制作、昭和50年にはNHKの少年ドラマシリーズのトップを飾って放映され(主演・坂東八十助)、若山富三郎主演版が1981年に放映されたり(ハクセツという馬は原作には出てきません)と、戦後になってからも何度も映像化されているようです。

 お見せできないのが残念ですが、挿し絵は伊藤幾久造で、これまた一見の価値アリです。
例によって例の如く、絶版ですが。

この時代の挿し絵の実物は弥生美術館で見る事ができます。
東京大学本郷キャンパス・弥生門(根津からどうぞ。本郷三丁目で降りた場合、大学構内を横断する事になります)の目の前です。

この作品の登場するバカいち(と嫌展)

これもバカ一形成期の作品ですから、後にお約束となるパターンがてんこ盛りです。


書籍データ
作者高垣眸
収録講談社少年倶楽部文庫
発行年昭和10年(『少年倶楽部』連載)
昭和50年(少年倶楽部文庫)
ジャンル冒険小説・時代劇
入手可能性古本のみ、少年倶楽部文庫なので高額を覚悟の事。

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